ほんの少しの遠出 黒磯・宇都宮編


月の初めの日曜の定休日といつもの月曜の定休日に加えて
土曜もお休みをいただき、珍しく三連休をとりました。
最近、時間とお金に余裕がある時は決まって即海外へ!
という気持ちが強かったのだけれど、
たまには国内の遠出もいいなぁと思い、春の散策へと出かけました。
遠出とはいっても、近いのになかなか行けなかった所です。
つまり、距離的に遠いという訳ではなくて
よいしょと重い腰を上げて行った、気持ち的に”遠出”なのです。

1日目のこの日は雨の中、栃木へ向かいました。
方々で噂のカフェ、SHOZO CAFEへ行ってきました。
何度か行く予定はあったものの、なかなか遂行できずにいた所。

聞いていた通り、黒磯の駅を降りれば寂れた町が続き全然人気がない。
こんな所に?と思い始めたあたりでSHOZO系列の古道具屋や服屋や雑貨屋が
現れました。そして最後に20年近く前に造られたカフェ、
通称マチショウ(町のSHOZO CAFE)がありました。
アパートの2階に設けられた、落ち着いた温かな空間。
中央にあるこっくりとして立派な大きな机に席をとりました。
この日はそれまで散々晴れて春の陽気をみせていた天気が
急に冬に逆戻りしたような、とても寒い日でした。
ブラインドから覗く外は灰色でしたが、
隣にあるストーブが蒸気をあげていて寒くて縮んだ体を溶かしてくれました。
古くて表紙の素敵な『暮らしの手帖』を見ながら
美味しいコーヒーとスコーン、さらに季節のケーキを食べる。
素材の味がぎゅっと詰まった素朴な味でした。
気が付くと店内はいつの間にか満席でした。
 水を張った洗面器がかわいい。

黒磯駅に戻って今度はバスで那須方面へ。
行きたかった古道具屋に寄る。
親切な店員さんから那須のSHOZO CAFEへの行き方を教わりましたが
とてもじゃないけど歩いては行けないとの事。
距離感のわからない私たちは行き方を検討してくださる店員さん同士の会話を
貰った地図を見ながら聞くだけしかできず、、、。
すると、その店の側に運良くシャトルバスが止まりました。
これに乗ったら近くまで行けるかもしれないとの事でしたので、
走り寄ってバスの運転手さんに聞いてみると、
「んー、、、そんじゃあ近くまで行くかー。」と応えてくれました。
本当は行く予定の無い停留所まで送ってくれるとの事。
適当そうなおっちゃんはとても親切で人情深かった。
結局誰も乗り込む事のなかったシャトルバスでの車内は
「若い人はみーんなショウゾウって言ってるけど、なーにがいいの?」
と素朴な疑問をぶつけられたりして、温かい会話に笑いが溢れていました。
「着いたよー。」と言われたのはカフェの真ん前。
予定では少し離れた停留所までのはずだったのに
まさかそこまで乗せてもらえるとは思わず、ビックリ!
お礼も満足に言えないままおっちゃんは「じゃーなー。」と走り去って行きました。
なんて親切な人たちばかりなんだろうと感心してしまう。
 バスは林を抜けて来ました。

那須のカフェは通称ヤマショウ(山のSHOZO CAFE)。
なるほど、黒磯に比べて周りに木々が生い茂っていて自然が感じられます。
随分雨が大降りになったけれど、土臭く青臭い雨の匂いが気持ち良い。
雨が降っていてもさほど気にならないのは
きっとここのコーヒーと雨が似合っているんだと思う。
ヤマショウは広くて開放的な造りでした。
サンルームの端の席に座るとここでも暖かなストーブが出迎えてくれました。

ここでは私たちの大好きなピカソの写真集があったり、
(ピカソは作品集よりも、私生活を楽しんでいるピカソ自身の写真集の方が素敵!)
興味深い本が揃っている。ここでもコーヒー片手に至福の時間を過ごしました。
バスのおっちゃんからもらった時刻表に合わせて店を出ようとすると、
バスは先程行ってしまったばかりの様子。あれ?と思い、
本数の少ないバスの状況を店員さんに聞くと、時刻表が間違っているらしい。
次のバスを待っていたら他にも行く予定が狂ってしまうな〜と困っているところに
「黒磯の店に配達があるのでよかったらお送りしましょうか?」
とお声をかけていただきました。えー!?そんな事ってあるの?
とても驚いていると、店員さんが車をまわしてくれました。
本当に何て親切な方たちばかりなんでしょう、優しい気持ちになります。

白いペンキが施してある窓。そこに切り取られた外の木々。

道中、SHOZO CAFEのあれこれをお話ししてくださり、
ショウゾウさんは偉大な方なんだなぁと改めて思いました。
しかも、通り道だからと SHOZO MD にまで寄ってくださいました。
ここも大通り沿いの気持ち良さそうな小部屋があって素敵でした。
他店にはないメニューのお菓子セットも買えたし、
期せずして全軒にまわれて満足な気持ちでいっぱい。
それよりも、どこのお店もみんな良い店員さんで、
その温かさに胸がいっぱいだったのかもしれません。

少し遠回りをして黒磯駅前まで送ってくださり、深々とお礼をする。
おかげで予定通り動けるようになりました。
そのどうしても行きたかった所とは宇都宮にあります。
電車に1時間程揺られて、宇都宮駅からはタクシーで急いで直行。
のはずが、運転手さんが迷ってぐるぐる、、、。
時間がないので焦って何度途中で下ろしてもらおうと思った事か。
そんなこんなでやっと着いたのが住宅街にある静かなカフェ keicaさん
drop aroundさんにとにかく良いと教わったカフェです。
その言葉通り、本当に素敵でした。
お店の造りがとても凝っていて、少ない席数も、窓から見える小さなテラスも、
ちょこんと置いてあるセンスの良い古道具もなにもかも素敵。
しっとりと食事を楽しみたい気持ちと、
じっと座っている事なんてできない、あれもこれも気になる。
という素晴らしいものを身近に感じた時のあのそわそわとした気持ち。
それだけ魅力的な店内でしたが、すごいのはお店の造りだけではありません。
私が頼んだポトフはお野菜がごろんとそのままの姿で入っていて、
余計な雑味のないとてもとても優しい味のスープでした。
本当に美味しかった。
 やさしくそして堂々たるポトフ。

帰りの電車の時刻が迫っていて、後ろ髪を引かれながらも
慌ただしく帰っていく私たちにご夫婦の店主さんは
親切に帰りのタクシーを拾える所を案内してくれました。
まだまだゆっくりと味わっていたかったけれど、また今度。
また絶対にすぐに来よう。と話しながら帰っていると、
「タクシー乗り場はこっちですよ。」と背後から声が。
旦那さんが心配して自転車で追いかけてくれたのでした。
確かに分かりにくい場所にありましたが、わざわざ親切に、、、。
本当に会う人会う人みんな親切で優しくて、
東京ではなかなか感じられない人の温かさ。
あぁ自分もこんな風に自然に人を思いやれたらなぁと心底思いました。

少し走った吐息と、素晴らしい一日に興奮して
帰りのタクシーの後部座席は私たちの熱気で曇っていました。
 乗ったのはてんとうタクシー。

text by : yuki
| おでかけ | comments(0) |
<< | 3/3PAGES |