ほんの少しの遠出 箱根編


3連休からしばらく経ったある日、
突然思い立ち、その日に友達と連絡を取り合い
行き先を決めた月曜の昼下がり。

昼から出発するにしては遅すぎる遠方の箱根に行く事にしました。
遠くて小さくて、そこだけポンっと異空間な離れ島のような博物館
『星の王子さまミュージアム』に行くためです。

以前車で行った事がありましたが、
行きがけの盛り上がる気持ちを冷やすかの様な雨がフロントガラスにポツリと降り、
後に大雨と濃い霧に見舞われて運転がとても大変でした。
その事を友達に話すと、彼女も箱根に行く時に晴れていた覚えが無いと言う。
山の天気は変わりやすいというけれど、
こうも毎回雨に見舞われるものなのでしょうか。
そんな話をしている鈍行電車の外も曇り空。この日もまた雨の予報でした。


小田原駅からバスに乗ってぐんぐん山の中を登って行きました。
お土産屋さんや風情のある箱根登山鉄道の脇を通ると
旅情気分を味わえてほんわりとした気持ちになります。
途中、富士屋ホテルの立派な門構えが見えて、
こういう格式ある古いホテルのロビーで文化人さながらお茶がしたい
なんて話をしながらバスは進んでいく。
蛇行している山道から下を見下ろすと随分と高い所まで来ました。
と思っていたその時、以前も感じたあの切ない光景、、、
バスの大きなフロントガラスに雨粒が降ってきたのでした。
あ〜ぁまた今回も雨だね、と苦笑い。

横浜から約2時間後、バスを降りると
目の前に見慣れたミュージアムが雨の中佇んでいました。
雨のせいもあるのか、休日に比べるととてもひっそりとしています。
でも、それがまた嬉しい。

入り口を抜けるとすぐにプロヴァンス風の石造りの小道が現れます。
フランスの地に訪れたような気持ち、、、とはまた違って
どこの国でもない不思議なところに入り込んだような感覚になります。
子供だましでないとてもよく出来たつくりだけれど、
でもやっぱり”作り物”独特の儚い感じがあります。
それがまたもの寂しい雰囲気を醸し出していて、良いのです。
小道を抜けると王さま通りというお店の立ち並ぶ小さな坂があり、
本屋や道具屋やレストランやいろいろな品がショーウィンドウから楽しめます。
 
王様通りの商店とキノコ料理屋(?)さん

 
金物屋さんのホーローとお化粧品屋のお洒落な石鹸。

そこから展示ホールに入り、じっくりと作者サン=テグジュペリの生涯をたどる。
裕福な家庭に育ち、お城に住んでいた幼少期の写真はどれも
立派な子供服を着ていて、幸福そうな生活の様子が伺えます。
パイロットに憧れていましたが、挫折を繰り返し
タイル製造会社やトラック製造会社を経てようやく航空郵便配達員になりました。
辺鄙な外国の地に配属されたりと大変な役目も担っていたようですが
現地の人間も和ませる柔和な力があるようです。
その後に巨額の賞金を狙って長距離飛行に挑戦して幾度か失敗をしています。
その九死に一生を得た遭難の体験をもとに『星の王子さま』が誕生したのは
有名な話です。また気まぐれでわがままな妻のコンスエロがあの1輪のバラ
に例えられているというのも言うまでもありません。
ジュペリの波瀾万丈な生涯と夫婦の関係、歓喜と挫折の繰り返しの波が
ぐねぐねと上がったり下がったりしている様子がよく分かります。
自分の年譜もいつか遥か先に見てみたいような気もしました。

またデッサンや原画もたくさんあり、その絵心に感心してしまいます。
誰にも真似できないような自由な筆の運びは
特に専門的に学んでいない、好きだからこそ気軽に描けるものだと思います。
 
ジュペリが実際に飼っていたキツネについての手紙と
何か素敵な長いタイトルがついていた気がする紳士の絵。

展示ホールはとても凝った面白いつくりになっていて、
ジュペリの年譜に合わせてその時代にあった状況を再現しています。
最初には子供部屋が再現されていたり、町の一角や赴任先の部屋や
書庫やバーや飛行音のする郵便荷物の積まれた機内まであります。
 
書庫のように本棚に古い本がぎっしり。 壊れたアパートまであります。

 
通っていたバーも再現。 ジュペリのパスポートは多数の国の判が押されていた。

最後には様々な国で出版されている『星の王子さま』の各国語の表紙が
ずらりと並んでいました。
ジュペリが彩色したものではパンチが無いからと英語バージョンでは
おかしな彩色に変えられていたり、馴染みのある王子さまの表紙とは違って
挿絵の違った箇所から表紙の絵にしていたりと各国様々。
チェコなどは他の人が書いた絵を勝手に表紙にしているものもあって
お国柄がでていてとても楽しいです。

私が気に入ったのはバオバブの木の表紙。(王子がいないけどいいのかな、、、。)

薄暗い展示ホールをかなりの時間を費やして見た後に外に出てみると
なんと大雨が降っていたはずの空が青く澄み切っていました。
細く弱い光量ですが太陽も優しく射していました。
この時の清くて嬉しい気持ちといったらありません。
何もかも満たされたような気分になってまた石畳の道を歩き出しました。
 
文中にも出てくる井戸。 ゾウinウワバミの方位計。

ミュージアムの敷地の奥まった所には教会があります。
現在は分かりませんが、確か以前は結婚式ができるようになっていて、
こんな可愛い小さな教会で式ができたら素敵だなぁと思っていました。
と同時にオーストラリアの動物園の中にある小さな小さな
小屋のような教会で結婚式をした時の事を思い出しました。
今日みたいに大雨の翌日の澄んだ晴天の日でした。
 
教会の屋根と飾りけのないシャンデリア。

もう他のお客さんが帰った頃でも時間の許す限り、2人ではしゃいでいました。
晴れているところも撮りたいと雨の降っていた入り口付近にまた戻ったり、
好きなお店屋さんの前で店主になりきった写真を撮り合ったり。
もう園内は私たちだけでした。すっかり満喫していました。

なかなか頻繁には会えないので、友達と遠出をするのはとても新鮮です。
いつも相手に合わせて足を止められないところに一緒に見入ってくれたり
時間をかけたいところにじっくりと付き合ってくれる。
空の様子や花や草木についても自然に話せるし、自然に目を向けられる。
いつも気を遣って躊躇してしまう事ものびのびと出来る。
マイペースな私の速度に合わせてくれているという訳でもなく、
彼女もまたマイペースなのでちょうど同じ速度で息が合う。
そういう関係が素晴らしいなと改めて感じました。
 土星模様の地面。

そんな友達と行けた不思議な離れ島ミュージアム。
もっと早い時間に出ればもう少しゆっくりできたねと言うと
逆にそれがすごく優雅な事だと思うと答えてくれました。
確かに、その通り。とても優雅な1日でした。

text by : yuki
| おでかけ | comments(2) |
初コメントだよ♪♪星の王子様ミュージアムいいねぇ。
すごい可愛い☆わたしも行きたくなった。
日記を読んでるだけでもちょっと行った気になれるような文章が、由希らしいね♪  なんか絵本読んでるみたいで楽しかったよ★
またのぞいてみるね!!うわばみ。。。
| トモミ | 2007/05/12 4:10 PM |
トモミへ
コメントどうもありがとう〜。
機会があったら是非、星の王子さまミュージアム行ってみて。
小さいけれど魅力がギュッと詰まっていて幸せ気分になれるよ!
きっと好きだと思うなー。

春の箱根もいいけど、秋の京都も楽しみだね〜。
早く行きたいなぁ。
| yuki | 2007/05/13 1:37 AM |