Pretzel蚤の市

旅の序盤、蚤の市で買い付けた物をどうしようかと考えていた時に「場所ならいくらでもあるから家で荷物を預かるよ」と言う友人の一言を思い出した。「ダンボール箱をひとつ送っても大丈夫?」と訊くと「何箱でも送って」と嬉しい返事が返ってきた。その言葉に甘えて蚤の市を回って買い付けては彼の家に送り続けた。

それまでは順調に届いていたが、ルーマニアから送ったダンボール箱がひとつ紛失した。その時にこれまで送った荷物を確認すると、すでに10箱。重さにして200キロ。さすがに送り過ぎだよなと思いつつも「まだまだ大丈夫」と言う彼の言葉に後押しされて追加で3箱。もうこれ以上は彼の家族に悪いと思い別の友人の家に3箱。さらに帰りの飛行機に4箱。合わせて20箱のダンボール箱にアンティークやガラクタをぎっしり詰めた。

蚤の市が立つ日は早朝にひとりで出掛けた後に子供たちも一緒に連れて行った。もちろん年月を経た美しい物や面白い物に触れて欲しいというのもある。ただそれよりも言葉の異なる国で自分が欲しいと思った物を身振り手振りで買うことを経験させたくて小銭を握らせた。しかし楽弥と希舟が欲しがるものは「カドゥ!」「グラティス!」「スーベニール!」と言う店主の好意で一度も小銭を渡すことなくふたりの小さな手に渡った。

旅の終盤、文字通り私たちは無一文になっていた。地下鉄の駅を彷徨っていたら、浮浪者に配給されていたスープとパンが私たちにも割り当てられた。地下道にはジプシーが奏でるアコーディオンの音色が響いている。食べる喜びに満ちた人々に混ざって啜ったスープは体だけでなく心までもを温めてくれた。

楽弥と希舟は「カードでお金をおろしたらいいじゃん」と簡単に言うが、そんな魔法のカードはない。「もうお金がないから物を売ってまた旅に出よう」と言うとふたりは目を輝かせた。きっとその時も同じように無一文になるのだろう。それでもこんなに楽しく生きていけるんだと子供たちが身を以て感じてくれたらいいなと思っている。

去年の冬から大量の荷物を預かってくれている川越のKIKONOでPretzel蚤の市を開催します。東欧で買い付たアンティークや民芸品とルーマニアの小さな村まで遊びに来てくれた星谷菜々さんの可愛いお菓子が並びます。まだ封も切っていないのでダンボール箱を開けながらの販売になりそうですが、蔵造りの町並みを散歩しがてら是非遊びにいらしてください。

商品について詳しく知りたい時や欲しいけど高くて買えないという時には気軽に声を掛けてください。私も蚤の市では物の用途や時代背景を教えもらったり交渉して安く譲ってもらったりと店主とのやりとりを楽しみながら買い付けをしています。皆さんも海を越えて東欧の蚤の市へ出掛けるような気分で楽しんでいただけると嬉しいです。

Pretzel蚤の市
5月1日〜5月5日
11時〜17時
KIKONO
埼玉県川越市幸町5−28

| 日々のこと | comments(0) |