BlejskoJezero

スロヴェニアのブレッド湖に着いた。あと数日で旅も終わりだ。妻と子供たちは手漕ぎの舟に揺られて湖の真ん中に浮かぶ小島を目指している。私はというとベンチでひとりビールを呑みながら青く美しい湖と崖の上に建つ城を眺めている。

今の私には高価すぎる舟代に一度は諦めたのだが、湖に浮かぶ舟を楽弥と希舟が必死に追いかけていると船頭が岸に舟を止めてくれ、持ち合わせのお金で三人を乗せてくれたのだ。

この旅の中で子供たちは言葉が通じなくても自分の思いを伝えられるということを感じたと思う。何か強い思いがある時、必ず誰かが手を差し伸べてくれた。食べる物がない時や泊まる場所がない時、幾度となく人の優しさに助けられてきた。

それは楽弥と希舟の心にも深く刻まれているようで、旅で何が楽しかったかと訊くと訪れた町の名前よりも先に、そこで出会った人の名前が出てくる。それを聞くと旅に出てよかったと心から思える。結局、私自身もどこを旅するかよりも旅でどんな出会いがあるかを楽しみにしている。

急に雨が降ってきた。そういえば雪が降る日は数え切れないほどあったが、雨という雨はこの旅で初めてかもしれない。大きな木の下で子供たちが乗る舟が帰ってくるのを待ちながら、これからどこへ向かおうかとびしょ濡れになった地図を広げている。

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