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朝からやけに馬車が走る音がすると思って外に出ると、いつも水を汲んでいる井戸の前にたくさんの馬が集まっていた。何だろうと思い見ていると、馬にミルクのような白い液体を飲ませている。そして首に注射を打っていく。おそらく馬の予防接種のようなものなのだろう。次から次へと馬車がやってくる。静かな村に響く馬車が駆ける蹄の音や車輪の音ほど心地良いものはない。

家に戻るとジプシーの男の子が門の前に立っていた。道ですれ違う度にお菓子を分けてくれる優しい男の子。何も言わずに公園の方を指差した。楽弥を誘いに来てくれたようだ。楽弥は友達が遊びに来てくれた喜びで満面の笑みを浮かべている。

ほとんど言葉の通じないふたりが楽しそうに遊んでいる。七才のジプシーの男の子がコーラを分けてくれたりと楽弥を弟のように可愛がっている。大人よりも子供の方が心で通じ合う力を持っているのだろう。

昨日、マールトンに会った商店で獣肉のマールトンに会う。彼もまた店主に「友達のガクとキッキー」と楽弥と希舟を紹介している。ふたりのマールトンは何か通じるものがある。なんかよく分からないけど嬉しくなる。

三週間ぶりに咳も熱も頭痛もなくなり調子が良い。こんなにも長く体調を崩したことなんてないので、健康でいることがどれだけ大事かを思い知った。

久しぶりに刺繍を始める。買い付けでシクを訪れていなかったら刺繍をやろうなんて考えもしなかった。その村でこうして子供たちと暮らしながら刺繍をする日が来るなんて人生は面白い。

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