Rupea

サスキズから街道を南東へ進みルペアという村で降りる。丘の上に立派な要塞が見えたのだ。

村の中心には、花柄の派手な配色のスカーフとスカートを身に纏ったジプシーの家族が闊歩している。街道沿いの他の村に比べても賑やかな印象を受ける。ジプシーの子供たちがけらけらと笑いながら後を追ってくる。楽弥は私の荷物の後ろにぴたりとくっついている。荷物が盗まれないかと心配してくれたようだ。悪いことをするジプシーもいるから気をつけた方が良いと話したのを憶えていたのだろう。つい数日前もバッグを盗んだジプシーの子供たちが捕まっているのを目の当たりにした。とはいえ、あの派手な格好や人懐こい性格からしてジプシーのことは嫌いになれない。これまで魅力的なジプシーにばかり会っているので、警戒心を抱くどころか自ら歩み寄ることもある。

村で唯一の宿に辿り着くと、優しそうなおばさんが具合の悪い私を心配して自家製のラキヤを勧めてくれた。喉がすっきりするからと蒸留酒を勧めるなんていかにもルーマニアらしい。それが効いたのか、夜は久し振りに調子が良くなった。おばさんとラキヤを片手にルペアの話をする。今はこの村を造ったザクセン人がほとんどいない代わりにジプシーが増えていて問題だと頭を抱えていた。人種の問題は色々とあるのだろう。しかし、他民族が混在しているからこその魅力も確かにある。

部屋から光に照らされた要塞と満月が見える。明日は何とかあそこまで登ろう。

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