Sighisoara

時計塔の鐘の音で目を覚ますも、頭痛が治まらず起き上がれない。妻と子供たちは正午の仕掛け時計を見に出掛ける。

ちょうどひと月前にシギショアラを訪れて、同じように正午の仕掛け時計を見ようと城塞の内側で待っていたのだが、チーンチーンと鐘を鳴らす人形の腕がわずかに動いただけだった。数年前は確かに木彫りの人形たちがぐるぐると回っていたはずなのに。もしかしたら時計塔の反対側だったのかもしれないと思い、がっかりしている子供たちに「また見に来よう」と約束をして街を後にしたのだった。

今度こそはと思い、城塞の外側で針が重なるのを待っていたらしいが、結局人形は回らなかったという。せっかく雪辱を晴らそうと思ったのに残念だ。

私も一日中横たわってもいられず、重い体を引きずるように時計塔まで歩く。夕方六時の鐘の音が響いても仕掛け時計はやはり動かない。機械仕掛けとはいえ、数百年と動き続けた人形たちもさぞかし疲れているのだろう。

帰りは希舟が手を引いてくれる。まだ四才でも元気がない時には優しく気遣ってくれる。相当弱っていたのだろう「パパがおじいちゃんになっても一緒に旅しようね」と私が年老いた時の話ばかりしている。それはそれで楽しい旅になりそうだ。

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