Medias

朝起きて蚤の市へ向かう。八年前よりも規模が大きくなり賑わっている。衣料品や日用品ばかりだが、その中に古い絵皿や手刺繍の布などが混ざっていて探すのが楽しい。ここでは面白いことにジプシーが私に服をくれる。そんなにぼろぼろの格好に見えるのだろうか。

蚤の市を出て駅に向かう。具合が悪いからこそ体をごまかすかのように旅に出たい。ベッドの上にいても良くならないと思い、行き先も決めずに列車に乗る。三時間程走って、メディアシュという駅で下車する。駅前のアイリッシュパブの上が宿になっていたので、交渉して安く泊めてもらう。支払いをすると「これだけでいいよ」とさらにまけてくれた。ルーマニアではタクシーの運転手やカフェの店員が「旅を楽しんで」とお金を受け取らないことがよくある。そして「良い一日を」なんて言えるのだから素晴らしい。ルーマニアにいると人として学ぶことがたくさんある。

夜は宿の下のアイリッシュパブでギネスを呑んだ。食欲がなかったので、私はすぐに部屋に戻ったが、食後に子供たちにとティラミスが出てきたらしい。それも従業員の自腹で。

パブでは生演奏が始まり、それが上の宿まで大音量で響く。どう考えても眠れるはずがない。もう怒るとかの感情を越えて笑えてくる。ルーマニアのこういうところが憎めない。楽弥と希舟はさすがに戸惑って枕に顔を埋めている。

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