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希舟の具合まで悪くなり、急遽友人に村の診療所へと連れて行ってもらう。楽弥の声が車中に響く。「これも貰ったんだよ。これもこれも全部」と膨れ上がったポケットから次々とお菓子が出てくる。昨日、私が寝込んでいた間に彼はひとりで散歩に出掛けて様々な出会いがあったようだ。村の人々は子供に優しい。

聴診器をあてられる。「鼻を使わないで口だけで深呼吸して」と言われるが喉が痛くて思うようにできない。希舟はあっという間に終わったのに私だけやけに長い。ルーマニアで肺炎が流行っていると聞いて心配したが、ふたりともただの風邪だった。

帰り道に村外れにある塩水の風呂を見に行く。ここは昔、塩鉱だったそうで死海のように体が浮く天然風呂ができたらしい。いつか夏に訪れたい。

その後に見晴らしの良い丘に向かおうと坂道を登っている途中で羊の群れに出会う。見とれていた矢先に羊犬に囲まれる。凄い勢いで吠え立て、車だろうがお構いなしに道を遮り離れようとしない。子供たちが怯えながらも何とか丘の上に着くと、いつもの教会は小さく美しい村が一望できた。ここでは風邪のことも忘れて自然と深呼吸ができる。この村で暮らすきっかけをくれた友人に心から感謝をした。

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