夏の終わり

夏が終わった。
今朝、ルーマニアから来てくれた友人を見送りに行った帰り道
夏が終わったことをひとり感じていた。
もしかしたら助手席に座っていた息子も
同じことを感じていたのかもしれない。
彼もまた過ぎ去る景色を淋しそうに眺めていた。

どこかへ遠出をしたわけでもないが、楽しい夏だった。
入れ替わり立ち替わり友人が遊びに来てくれて、賑やかな日々だった。
佐原に越して来てからというもの、都心から離れているためか
来客が少なくて物足りなかったが、このひと月に友人が一遍に押し寄せた。
ほとんどの人が佐原を訪れるのが初めてだったが
皆一様にこの町を気に入ってくれて、来られたことを喜んでくれた。

夜は花火やスイカ割りをして、子供たちも思いきり楽しんだ。
食事も風呂も眠る時も傍には必ず誰かがいて、大家族のようだった。
楽弥も希舟もお客さんが大好きで、たくさん騒いでたくさん笑った。
寝る間も惜しいようで、夜更かししては気絶するように眠った。
泊まっていた友人が帰る度に淋しそうな表情をするが
また誰かが泊まりに来てくれて嬉しくなる、そんな日々の繰り返しだった。

しかし、今日も明日も明後日も来客の予定はない。
それを知ってか空港から保育園までの車中、息子はずっと黙っていた。
保育園に預けて別れた後、私の背中に泣き声が迫ってきた。
「バイバイ...バイバイ...バイバイ...」
別れ際に息子が泣いて追ってくるのは久しぶりだった。
「みんな帰って...淋しくなっちゃった...」
頬を濡らしながら息子は涙の理由を話した。
「バイバイ...バイバイ...バイバイ...」
それは単に私に対して発した言葉ではなく
遊びに来てくれたみんなへの別れの言葉のようだった。

今朝、空港で友人家族と別れた時にも我慢していたのだろう。
車中、ずっと涙を堪えていたのかと思うと何とも言えない気持ちになった。
矢継ぎ早に来客があったことで、悲しむ時間さえなかったのだろう。
ひとつひとつの別れの悲しさが、一気に溢れてしまったようだった。

息子は泣きながら言った。
「今日、岩井さんと渋谷さんに遊びに来てほしい」
先日来たばかりの友人の名前があがって思わず笑ってしまった。
この状況で何故、古道具屋と写真家の男達を選んだのか...。
いつも唐突に姿を現すこの不思議なふたりなら
きっとすぐにでも来てくれると思ったのだろう。

私にとっても夏休みが終わってしまったような喪失感があるが
この喪失感こそが充実した夏の終わりを物語っているのかもしれない。

text by : tetsuya

| 日々のこと | comments(2) |
こんにちは。先日ぼーちゃん届きました(*^^*)
主人もとても可愛いと絶賛していました。
今4ヶ月の息子がいるので、ぼーちゃんと仲良くしてくれればいいなあと思っています。
素敵なぬいぐるみありがとうございました(^^)
| ma | 2016/09/05 5:34 PM |
maさん、コメントありがとうございます。
BOOが無事にお届けできたようでよかったです。
大変お待たせしてしまい、すみませんでした。

4ヶ月の息子さんがいらっしゃるのですね!
もう少ししたらぬいぐるみに興味を持ち始める時期ですね。
お子さんにも気に入ってもらえたら嬉しいです。
また機会がありましたら、よろしくお願いします!
| Pretzel yuki | 2016/09/08 1:05 PM |