ムーミントロール

春の心地よい日和、私たちはムーミントロールになった。
長い冬の眠りから覚めたムーミンとスナフキンが橋の手すりに腰掛けて
足をぶらんぶらんさせてしまうような、そんな清々しい気分の昼下がり。

ムーミンが気になり始めたのは、冬の大雪のなか
ムーミンの故郷、フィンランドを旅した時のこと。
寒さを忘れるほど、石畳も外灯も家も店もすべてがきらきらと輝いて見えた。
そして、初めて自分のために買ったアラビアのマグカップは
ムーミンとミイとトゥーティッキがストーブの前でちぢこまっているものだった。
マグカップはいつの間にか割れてなくなってしまったけれど
十四才の時に初めて行った海外旅行は、ムーミンの存在と共に深く心に刻まれた。


それからも、寂れた古書店でトーベ・ヤンソンの童話や
ムーミンコミックスを見つけては、ムーミンの世界に浸っていた。
色とりどりのアニメーションには馴染みがないけれど、トーベやラルスが描く
単色の漫画や挿絵はそれ以上に頭の中で様々な色をもたらしてくれる。
読んでいるうちに、どうもムーミンの世界は”子供のためのもの”
だけではないような気がしてくる。何か別の次元の世界が広がっているような感じ。
それはきっと、トーベが執筆するために訪れるフィンランド湾に浮かぶ小さな島で
本当に妖精たちと共に過ごしているからなのだろう。


そんな、ムーミンの世界をモチーフにしている公園がある。
「あけぼの子どもの森公園」という自然に囲まれた市営公園。
おさびし山を思わせる森やムーミン屋敷、水浴び小屋やたきぎ小屋など
童話に出てくるムーミン谷の景色が、ここに広がっている。
とは言っても、ムーミンの格好をした人がいるような遊園地ではなくて
もっと独創的で子供が自然のなかで思いっきり楽しめる工夫が施してある。

息子は川で水遊びをしたり、丘を登ったり、ムーミン屋敷を探検したり、
ありとあらゆる場所へ目を輝かせて走り回っていた。
この公園では、子供も大人も誰しもがムーミントロールになれる。


眠気をこらえて遊びまわる息子は、足がもつれてよく転ぶ。
急斜面を転がりそうになって慌てて駆け寄ると
たんこぶができていたが、泣かずに起き上がって懲りずにまた走り出した。
そんな姿を見ていると、童話に出てくる”あらゆる小さい生き物を守る神様”が
息子のようなわんぱくな子供たちを守ってくれているような気がしてならない。

次に行く時は、ムーミンママがいつも作っているパンケーキとすぐりのジャムと
木苺のジュースをたくさんこしらえてピクニックをしたい。
そして、またムーミントロールになりたい。


text by : yuki
| おでかけ | comments(2) |
お久しぶりです!
ご連絡もなかなかできなくて…。
日記だけはずっと拝見しておりまして、
いろんな想いばかり募らせておりました〜

こちらの公園、すっごくステキですよね。
特にムーミンハウス!
ヤンソンさんが描かれたものとは見た目こそ違うけれど、
ムーミンの世界感そのままですよね。
ここの住人になりたーい!
それから飯能市もすてきなお店や場所が点在してて気になります*
| あさこ | 2014/06/12 10:57 PM |
あさこさん、コメントありがとうございます。
ご無沙汰しておりますが、お変わりありませんか。
とこちゃんも元気かな?大きくなっていることでしょうね。

”ムーミン公園”はずっと想いを寄せていた公園でした。
息子が嬉しそうに走り回る姿を見て、本当に良い公園だなぁと思いました。
怪我を恐れずに、子供が自分で楽しみを見つけたり、危険を感じたり
できるような工夫が施されているのがとても良いですよね。

大人もムーミンの世界に魅了されてしまいます。
童話のお家とはまた違ったものだけれど
ムーミン屋敷には夢がたくさん詰まっていますよね!
あの小さなベッドを見て、ムーミンたちはやっぱり妖精なんだと思いました。
確か、ヤンソンさん曰く電話帳くらいの大きさなんですよね。

また違う季節にも訪れてみたいです。
いつか一緒に行く機会があるといいですね!
| Pretzel yuki | 2014/06/13 11:47 PM |