帰国のファンファーレ
西欧からルーマニアへ戻り、今はセルビアのグチャという町に来ている。
この町の名前はセルビア人からよく聞かされていた。
8月にブラスバンドの音楽祭があるからだ。

ここへ来てから4日間、ラッパの音は一向に鳴り止まない。
楽隊がラッパを鳴り響かせながら町中を彷徨っている。
町を歩いていても、レストランで食事をしていても
ジプシーの楽隊がつきまとい、耳元で演奏が始まる。
すると、どこからともなく人が集まってきて踊り狂う。
汗ばんだ楽士の額に紙幣を貼り付け、演奏はさらに加速する。
それはビールとラキヤを飲みながら、夜明けまで続く。

野宿する覚悟でここへ来たのだが、
たまたま出会ったおばあちゃんの家に泊めてもらうことになり、
帰郷中の娘家族と共同生活を送っている。
夏休み中の3人の孫は人懐っこくて、しきりに遊ぼうとせがまれる。
リンゴやプルーンの実る大きな庭で子供たちと駆け回っていると、
子猫も飼い犬の尻尾を追い掛け回して遊んでいる。
丘の上にあるこの家にもラッパの音が鳴り響く。

帰国日まであと4日。
出来ることなら、このままラッパの音を聞いていたい。

text by : tetsuya
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