東の果ての果てにある港町。ここは太陽が一番にのぼるんだって。みんなは魚臭いなんて言うけれど私は全然臭くない。毎日スケボーで漁港を滑っているから鼻がおかしくなったのかしら。それより私は忙しいの。水平線がどこまで続いているのかこの目で確かめなくちゃいけないの。
あらお腹が空いちゃった。ブルーベリー畑に寄ってみよう。ブルーベリーおじさんはインディゴのエプロンをしているの。それにしても海みたいに綺麗な色だわ。あのエプロン一回も洗ったことがないなんて本当かしら。みんなはブルーベリー臭いなんて言うけれど私は全然臭くない。毎日ブルーベリーおじさんのブルーベリーばかり食べているから鼻がおかしくなったのかしら。それより私は忙しいの。水平線が何色かこの目で確かめなくちゃいけないの。
またお腹が空いちゃった。ブルーベリーじゃお腹いっぱいにならないわ。やっぱりお魚が食べたいわ。魚釣りおじさんは蝶ネクタイなんかつけて紳士みたいな格好をしているの。それなのに全然紳士じゃないの。ただではお魚をくれないの。お金がないと釣れないよなんていじわる言うんだからたまらないわ。でも銀色のお金を渡すとすぐにお魚が食いつくの。嘘みたい。まったくお魚を釣っているんだかお金に釣られているんだか分からないわ。大人ってそういうものなのかしら。それより私は忙しいの。水平線で待ち合わせをしているの。もうすぐウサギに会えるはず。約束したんだから。
水平線はまだ続いているみたい。水平線に色なんてないみたい。水平線はどこかしら。待ち合わせ場所はどこかしら。ねぇウサギったらいったいどこにいるの?
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楽弥の夏休みの自由研究。魚釣りおじさんの帽子のてっぺんにお金を入れると魚が釣れるからくり貯金箱。その隣でウサギを作る希舟につくりばなしをひとつ。